関西ウォーカー
2014年8月31日 23時13分 配信
今回、初のベストアルバムということですが、いわゆる『総集編』とは少し違った雰囲気ですね。
Hikaru/私たちは活動して6年半になるのですが、まだKalafinaを知らない人に私たちの事を知って頂きたいという思いのもと、今回のベストア ルバムを出すに至りました。選曲に関しては、これまでの総楽曲数が約80曲程あり、やはりすべての曲を入れるとうわけにはいかないので、あらゆるテイスト の曲を2枚にまとめました。どちらのアルバムから聴いてくださっても「Kalafinaの色」というものが見える作品になっていると思います。
_「Red」と「Blue」と分かれていますが、それぞれどのようなコンセプトなんですか?
Keiko/私たちの音楽は本当に色々なジャンルとテイストが混在していて、自分たちでも「Kalafinaはこういうジャンルです」という提示が難し かったんです。そこで、今回はベストを作るにあたって、選曲のコンセプトは一緒ですが、時系列や楽曲の性質で分けるのではなく、私たちの楽曲全体の幅や世 界観の広さを色で表現しました。「情熱的でエネルギーの象徴といえる」赤、「癒やしや人々を引きつける要素を持つ」青だと思い、「Red」「Blue」と 表現しました。今回のベストは何かの節目という意味ではなく「ここまできたぞ!」って旗を立てるくらいの感じですね(笑)。「まだ走り続けている」という 気持ちとして、新曲も入れさせていただいてます。
_制作作業を通して、これまでを振り返る要素も多いにあったかと思うのですが、現時点で客観的にKalafinaというアーティストはどう見えていますか?
Wakana/Kalafinaの楽曲に関して言えば、どれもやはりKalafinaの色があって、軸がブレていないという印象ですね。これだけ色々なテ イストの楽曲を並べて聴いても、やっぱり「これがKalafinaの音楽」という芯がしっかり出来ているというか。3ヴォーカルというスタイルでやってき ていますが、それぞれがそれぞれの役割をしっかりと認識できてきて、中でも「もっとここを伸ばそう」とか「ここが足りない」といったような高い意識で楽曲 に向き合えるようになっていますし、各ヴォーカルの存在感をよりしっかりと感じるようになりました。昔はコーラスワークというのは2声のハーモニーだった りソロパートが多かったりもしたんですけど、最近の楽曲に近づくにつれて、3声のハーモニーが増えてきたりという変化も改めて見えましたね。そうやって、 楽曲に対する私たちの役割は少しずつ変化してはいるものの、梶浦さん(プロデューサー)が作られる楽曲の世界観や軸となっている部分は少しもブレずにいる なと感じます。
Keiko/こうやってこれまでの楽曲を並べてみると、本当にタイアップ曲が多いということに自分たちでも驚きましたね。劇場版「空の境界」主題歌プロ ジェクトとして私たちは結成されたのですが、昨年この作品が終わるまでずっと楽曲の部分で関わらせていただきました。「魔法少女まどか☆マギカ」も、オリ ジナルアニメにしてすごく人気が出たアニメーションですし、作品の発展と共に私たちの音楽も関わることが出来ているという部分では、作品との距離感がとて も近い状態で活動できたというのはすごく嬉しいことですし、ありがたいことですね。それぞれの作品から私たちが生まれて、今があるという実感にも繋がっ て。
Hikaru/私も、ふたりが感じていることと同じ気持ちですね。実は最初、ベストアルバムを出すということについては少し不安があって(笑)。「まだ早 いよ」とか思われるんじゃないかとか、いろいろ考えてしまって。でも、私たちとしては、今回のベストはいわゆる「総集編」でなく、「名刺代わり」としてた くさんの方にお薦めできるものに仕上げることが出来たと思っています。ベストが出ることによって、Kalafinaを知らない方にも「まずはこれを聴いて みて!」みたいな感じで、気軽な入口となる作品になれたら嬉しいですね。自分自身にとってこのベストアルバムは、これまでの活動や自分自身のことについて 振り返る良いきっかけにもなりました。初期の頃の楽曲も入っているので、まだ未熟だった自分もそこにはしっかりといますので(笑)。
_タイアップとしてみなさんとの関係も深い日本のアニメーションも、世界に誇る代表的なカルチャーとして浸透していますよね。
Keiko/いまはアニメーションと言っても、いわゆる「子供たちだけが観るもの」ということではなく、映像のクオリティも高く繊細な感性と技術を持った アーティストさんたちが作り上げる世界観は、大人の方も楽しめる本当に素晴らしいものばかりですよね。プロデューサーである梶浦さんはそういった作品の劇 伴も数多く手掛けられているのですが、私たちも劇中歌に歌詞をつけたものを歌わせていただいたり、そういった関わり合いもあって、自分たちの楽曲はアニ メーションというジャンルとすごく密接な関係であると思います。「あそこのシーンで流れてた曲だよね」とか、アニメとリンクして世界観を広げてくださるの は本当に嬉しいですね。
_ライブも、アニメ関連からロックフェスまで、かなりジャンルレスにステージを重ねてらっしゃいますよね。
Keiko/そうなんです(笑)。ライブは、やはり新たなお客様と出会える場所なので、色々なイベントや音楽フェスからお声をかけていただけるのは本当に 嬉しいです。最初は、やはりロックイベントとなると、どうしても「アウェイ」な感じがして弱気になっていたんです。「ここに来ているお客さんに自分たちの 世界観が受け入れてもらえるのだろうか…」とか。でも楽曲が多くなるのと同時に、自分たちの色や世界観もしっかりと確立されてきましたし、敢えてアウェイ な空間を自分たちの色に染めていくことが出来るか、という挑戦が楽しみになってきました。
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関西ウォーカー
2014年8月31日 23時14分 配信
_プロデューサーである梶浦さんとは、楽曲についてどのようなやりとりがありますか?
Hikaru/梶浦さんは「その人の声をいかに最高の状態まで引き出せるか」ということをすごく大事に曲を作られていて、ひとりひとりの個性を上手に引き 出してくださいます。レコーディングの時は一人ずつ録るのですが、その時点での細かいやり取り以外では、自分が作った楽曲を私たちがどう受け止めて表現す るのか、私たちのフィルターを通して出てくるものがどうなるのか、それを楽しみにしてくださってるように感じますね。
_来年は初の武道館、しかも2daysが決定していますが、ツアータイトルから察するに、今回のベストアルバムが軸の選曲になるのではと予想してますが…。
Keiko/そうですよね(笑)。今回のアルバムを軸に、プラスとしてどういう楽曲でのセットリストになるのかはまだこれからですね。でも基本は、このベストアルバムを基本に構成されていくと思います。
Wakana/武道館公演が決まった時は本当に驚きました。2daysと聞いた時は急に不安になってきてしまいましたけど(笑)。でも、いつも3人で「い つかワンマンで武道館やりたいね」って話していたので、それが叶うことになって本当に嬉しいです! ライブハウスから一歩ずつ進んできての武道館なので、ここまで連れてきてくださったみなさんへの感謝の気持ちをライブで見せることが出来ればと思います。 すごく感慨深い時間になりそうだなって思います。
Hikaru/本当に夢だったので嬉しいですし、このアルバムを聴いた方の「生で聴いてみたい!」という気持ちに応えられるチャンスでもありますから、 ファンの方はもちろん、初めてKalafinaのライブに来て下さる方とも一緒にその景色を楽しみたいと思います。「武道館チケットもう買いました!」っ ていう声もあるので、いよいよ気持ちを整えていかないとですね(笑)。
Keiko/先に行われる秋のツアーでは、グランキューブ大阪でのライブも控えているのですが、武道館では今までのライブとはまた違う空間ですし、 Kalafinaの新境地になるのではないかと思います。まず、グランキューブのライブでこれまでの積み重ねを披露できるかと思いますので、ベストを聴い て「生で聴いてみたい!』と思っていただけたなら、是非ホールで体感していただきたいですね。
【取材・文=三好千夏】