Nagi Yanagi interview about Aqua Terrarium:
http://www.anican.jp/blog/special/special.aspx?number=20130040
★スペシャルインタビュー
やなぎなぎ「アクアテラリウム」インタビュー Part1
やなぎなぎの6枚目となる最新シングル「アクアテラリウム」で実現した石川智晶とのコラボ。独特のインパクトを残しつつ、静かに海の中から地上を見つめる、そんなファンタジーな風景をイメージさせてくれるところが素晴らしい。好評放送中のTVアニメ『凪のあすから』のエンディングテーマであるこの楽曲を中心に、シングルについて語ってもらった。
アニメのエンディングとしても、楽曲だけでも世界観が魅力的に聴こえる楽曲を作れる人がいいなって
――アルバム『エウアル』の反応はいかがでしたか?
やなぎ いつも以上にたくさんの方に聴いていただけたので、反響は大きかったですね。ツイッターとかメールとかお手紙もたくさんいただきました。
――どんな感想がありました?
やなぎ 聴いてくださった方が、どんな風に受け取って聴いてくれてたかとか、“もしかしてこういう意味なんですか?”っていう私が意識していなかったような感想をいただいたので、それは結構面白いなと思いました。
――ニューシングル「アクアテラリウム」は、アニメ『凪のあすから』のエンディング主題歌ですが、まさにやなぎなぎさんのためにあるようなタイトルのアニメですね。
やなぎ そうですね。私も話をいただいた時、もしや名前で話が来たのかと(笑)。
――その話はいつ頃?
やなぎ アルバムをリリースしてすぐくらいですね。
――わりと最近じゃないですか。最初はどういう感じで?
やなぎ こういうアニメがあるんですけどって、キャラクターの画像と簡単なお話の背景をいただいて。その絵がすでに綺麗だったんですね。海の中に街があって。その一枚絵で想像を掻き立てられたので、「すごく面白そう!」って。
――すごくファンタジーな設定ですもんね。
やなぎ 学園モノではあるけど、海の中に人が住んでいるという設定がすごくファンタジーで。
――石川智晶さんに作曲をしてもらった経緯は?
やなぎ お話を読ませていただいて、すごく退廃的な雰囲気を感じたんです。それと、アニメのエンディングとして聴いても面白い曲に聴こえて、アニメなしに楽曲として聴いても、その楽曲の世界観が魅力的に聴こえる、そういう楽曲を作れたらいいなと思って。その雰囲気をうまく出せる人と考えたら、石川さんがぴったりじゃないかって、私からお願いしました。
――ということは、石川さんに対してそういうイメージをもともと感じていた?
やなぎ そうですね。石川さんはアニメのタイアップも多くされているけど、楽曲だけ聴いてもクオリティがすごく高い。2通りの楽しみ方ができるというか。そういうアーティストって少ないと思っていたし、前のアルバムで「アンインストール」のカバーもやらせていただいていたので、お願いできたらすごくいいなって。
――石川さんと、どういうやりとりをしたんですか?
やなぎ 曲のおおまかなイメージをまずお伝えして。そしたら詞の一節をくださいと言われたんですよ。キーになるフレーズが欲しくて、そこから世界を広げて書きますと。なので、1サビの4行をお渡ししたんです。それにメロディを付けていただいて、それに私がまた詞を付けていくという流れで作りました。それは初めての体験で。
――詞先なんだか曲先なんだかですね(笑)。でも、作曲する側としたらやりやすいかもしれないですね。イメージできるので。
やなぎ そうなんですかねぇ……。私も初めてだったので、どう書いたらいいのか、文字数をどうしたらいいかとか、いろいろ考えたんです。この4行を書くのにめちゃくちゃ時間がかかりましたから(笑)。(内容的にも)ここにすべてが詰まっているところがあるので、1~2日間くらいずっと悩んで。でも、そうしていただいた楽曲は、いい意味で期待を裏切られ、こんなメロディになるんだ!って思いました。
――本当にこの4行は素晴らしい歌詞ですよね。アニメをやはりイメージしたのですか?
やなぎ 大きな背景とか、一番重要なポイントはあって。『凪のあすから』の世界も入っているんだけど、それとは違う、そこから影響を受けたスピンオフみたいな世界を書きたいなと思って。「アクアテラリウム」って、すごくミニマルな世界というか。海とか大きいスケールの言葉ではない。狭い世界で生きていて、外の世界を知らずに生きていた、みたいなイメージです。
――確かに、アニメにリンクしている感じもするし。断定できない曖昧さはありますね。
やなぎ そう読もうと思えば読めるしっていう(笑)。詞を読んだだけでも、いろんな想像ができるようにしたかったんです。
――《デトリタス》という言葉を歌詞に使うのも、すごいと思ったのですが。もともと知っていた言葉なんですか?
やなぎ 魚をもともと飼っていたこともあって、調べものをしているうちに、微生物の死骸が白くなって雪みたいに降る“マリンスノー”という現象があるのを知っていて。アニメにも同じようなシーンがあったので、その話の時に聴いたら情景が浮かぶかなと思って。そういうところでリンクさせてみようかなということで、入れ込んでみました。
――いい意味で期待を裏切られたというメロディを聴いた時はどうでした?
やなぎ 詞を書いている時に、こんな感じになるのかなと想像していたんですけど、全く違っていて。やっぱり石川さんの目で見ると、世界はこういうふうに映るのかって面白さがあって。いただいたデモにコーラスも入っていたんですけど、そこからすでに「ヒ」という言葉が入っていたんです。「ヒ」で来たんだみたいな(笑)。
――確かに。〈ヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ〉ってコーラスは驚きですよね。
やなぎ それがもう恐ろしくて(笑)。「石川さん恐ろしい!」って。
――石川さんからしか出てこないんじゃないかという発想ですよね。
やなぎ あれを聴いたら、石川さんだなって思いますよね。世界をそこで出せるって本当にすごいなと思います。
つづく
Text/塚越淳一(FAMiLIES)
2013/11/20 13:00:00