http://www.lisani.jp/interview-report/live-report/id83648
梶浦サウンドに全身で酔いしれる濃密な3時間!“Yuki Kajiura LIVE vol.#11 elemental Tour 2014”最終公演レポート!
2014.04.25 19:06
『魔法少女まどか☆マギカ』、『Fate/Zero』、『機動戦士ガンダムSEED』など数々の大ヒット作品の音楽を担当し、さらに3月末から放送が始まったNHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』の音楽も手がける
梶浦由記。
そのソロプロジェクトであるFictionJunctionのコンサートツアー“Yuki Kajiura LIVE vol.#11 elemental Tour 2014”の最終公演が、
2014年4月20日にNHKホールにて開催された。1月にリリースされたニューアルバム『elemental』を踏まえてのツアーでは、台湾を含む8都市11公演をめぐり、約2万人を動員。その千秋楽となる本公演も、チケットは即ソールドアウト。満員の3,500人が詰めかけた。
「アルバム『elemental』を作っているときは本当に幸せだった」「ツアーが終わってしまうのが寂しくてしょうがない」と本公演の心境を語った梶浦。披露された楽曲はやはり『elemental』収録曲が中心になったが、それ以外のトラックも実にバラエティ豊か。『魔法少女まどか☆マギカ』に関連する
「Credens justitiam」、
「absolute configuration」。『空の境界 未来福音』より
「KK09_M-23」、『.hack』より
「liminality」、『ソードアート・オンライン』より
「Luminous Sword」など、様々な作品で名場面を彩ってきたサウンドの数々が奏でられる。それらがときに叙情的に、あるいは情熱的に、クールにと、色とりどりな表情をのぞかせながら音が紡がれていく。客席側もまた、じっと座って静聴していることもあれば、アップテンポな曲やTVアニメの名曲が流れた時には起立して手を振ったりと、楽曲に合わせて反応を変えていく。このライブの中心である梶浦はもちろんのこと、ボーカリストやバンドメンバー、そして客席が一体となって公演を作り上げられる空気感は実に心地よい。
楽曲の壮大な世界観とはうってかわって、MCでは梶浦の気さくなトークで会場の空気が弛緩する。3月末に放送が始まった
『花子とアン』にも触れ、「ドラマが本当に面白いんですよ」「少女マンガの続きを待つような感覚で楽しんでいます」とうれしそうに語っていた。さらにはボーカリストたちには「あなたにとってのYuki Kajiura LIVEとは?」、バンドメンバーには「あなたはなぜライブをするんですか?」という質問を投げかけ、
梶浦サウンドには欠かせない仲間たちの人となりを紹介していくひとコマもあった。なかでも印象的だったのが、ベーシスト・高橋“Jr.”知治の「今のネット時代に唯一ライブだけは家で観られないから、そういう場での音楽はミュージシャンにとっての命です」というコメント。梶浦が作り上げる音楽の深淵な世界を、迫力の楽器演奏とボーカル、そしてコーラスワークで、観客の全身にダイレクトに伝えるYuki Kajiura LIVE――その魅力を象徴するひと言だと感じた。
およそ3時間の公演時間のうち、ひときわ躍動感を強く感じられたのが
「君がいた物語」「stone cold」にかけて。See-Sawのカバー「君がいた物語」は、曲が流れ始めた瞬間に客席が総立ちになり、間奏では今野 均によるバイオリンのソロ演奏でも聴く者を魅了する。「stone cold」も客席からの反応がとりわけ大きく、手振りを交えながら音に身を委ねるファンの姿が多く見られた。そして曲中に挟まれた、是永巧一によるエモーショナルなギターソロは、痺れるような感覚を味わえた。曲が終わったときには、盛大な拍手と大歓声が送られていた。
アンコール後のMCではなんと、
Yuki Kajiura LIVE Vol#12の開催が告知された。2015年6月を予定しており、かつて2012年に開催された3days Special公演のような構成を考えているとのこと。まだ少し先になるが、「ライブをやるたびに進化していっている」と、誰より梶浦自身が開催を心待ちにしているよう。さしあたり今は『花子とアン』を楽しみながら、『ソードアート・オンラインII』の放送を待ちつつ、そこで新たにどんな曲が披露されるのか、期待を膨らませていきたいところだ。
そして名残惜しそうに何度も会場にいる全員への感謝の想いを語りながら、最後に披露したのは
「Sweet Song」。これは大切な人との別離に際した心情と、それを昇華した先にある幸福を描いた曲。ステージ後方の上手側には三日月が浮かび上がり、中央には歌詞の訳詩が流れていくという感動的な演出に彩られながら、音楽の終わりとともにそれらが消えていく。最後に客席から送られた惜しみない拍手には、その欠けた月を埋めるかのように、再会を誓う気持ちが強く込められていた。
Text by 山中貴幸
“Yuki Kajiura LIVE vol.#11 elemental Tour 2014”SETLIST
2014.4.20(Sun)@東京・NHKホール
M01 overture~elemental
M02 storytelling
M03 forest
M04 liminality
M05 in the land of twilight, under the moon
M06 Luminous Sword
M07 花守の丘
M08 Credens justitiam
M09 Historia:opening theme
M10 KK09_M-23
M11 ひとりごと
M12 storm
M13 eternal blue
M14 時の向こう 幻の空
M15 野原
M16 rising up
M17 凱歌
M18 absolute configuration
M19 君がいた物語(See-Sawカヴァー)
M20 stone cold
M21 Distance
EC-01 overture~zodeiacal sign
EC-02 Parallel Hearts
EC-03 Sweet Song
Keyboads&Chorus:梶浦由記
Vocal:KAORI, KEIKO, WAKANA, YURIKO KAIDA
Guitar:是永巧一
Drums:佐藤強一
Bass:高橋“Jr.”知治
Violin:今野均
Flute:赤木りえ
Manipulator:大平佳男
■ライブBlu-ray情報
FictionJunction YUUKAの楽曲を全曲収録したLIVE盤Blu-ray発売決定!
2014年2月8日・9日のFictionJunction YUUKA中野サンプラザ2Days公演をHD収録、Blu-ray2枚組としてリリース!
●Blu-rayタイトル
Yuki Kajiura LIVE vol.#11
FictionJunction YUUKA 2days Special 2014.02.08~09 中野サンプラザ
2014年6月25日発売
価格:¥7,560(税込)
品番:VTXL-19~20
発売元:フライングドッグ
販売元:ビクターエンタテインメント
<収録予定曲>
◆Disc1
overture ~ I'm here
destination
焔の扉
記憶の森
cazador del amor
暁の車
Piano Solo ~ Elenore / M
MADLAX vol.#6 LIVE ver.
瞳の欠片
六月は君の永遠
circus
よろこび
nostalgia
ひとみのちから
inside your heart
約束
Silly-Go-Round
nowhere
angel gate
荒野流転
優しい夜明け
◆Disc2
overture ~ circus
aikoi
Silly-Go-Round
cradle / MADLAX
誰もいない場所
しずかなことば
約束
angel gate -Short ver.-
ピアノ
焔の扉
光る砂漠
inside your heart
blessing
romanesque
荒野流転
記憶の森
cazador del amor
nowhere
聖夜
ふたり
暁の車
※特典映像としてコンサートメイキングを収録。