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第15回 石川智晶 ~ 自分になっていくこと ~
2016.10.14
自己プロデュースは単なる自分好きではやれません。
私は仕事が好きなんだと思う。ビジネスライクというモノを一見淡白にみる人もいるが、これほど事を進めていくのに個々の責任が必要で能率的な進め方を良しとし、情熱を持たねばできないものはない。だから音楽を趣味でやろうとは一切思わない。毎日、石川智晶は「アーティスト石川智晶さん」をプロデュースしていると言っていいだろう。日々追われているけれど、新たな景色に出会うことができている。それにだいぶ疲れるけど、だいぶ楽しいのです。プロデュースは単なる「自分好き」ではやれませんからね。最高のひとり遊びであるとは思っていますが。
アイドルという集団の中でも「自己プロデュース能力」が高い人というのは引きが強いなって思う。これは自分という存在を、向こう側から客観的に観れることができる能力。これはOLであっても学生、主婦であっても必要な時代になってきてると思う。何も強い人間である必要はない。「自身の幸せ」というのは人に貰うものも良しだが、今の自分自身への許し、納得、そんな一つ一つを地味に確認する中で感じられる本当の「自己愛」。この耐久力は断然違う気がする。
気がつけば23年の芸歴。時の早さにびっくりなんだけど。多くの悩みと多くの怠惰な時間も過ごしつつ、その中での財産といえば、自分の中にブレはなくなった気がする。ブレていた人じゃないとこれはわからないのだけれどね。いつしか個人事務所とレーベルを立上げ、マネジメント、デザイン他仕切るようにもなってしまった。いつからこんな人格になったのか。いつしか私は自分の時計、時間軸を持つようになった。自分だけの「言葉」を持つようにもなった。世の中のソレを恐れず長期休んだこともある。短いセッションでミュージシャンはじめ、クリエイターとの相性もわかるようになった。そこは一ミリもズレたらダメだということも学んだ。メリットもデメリットももちろんある。でもそれも他人の決めたビジョンの中での評価。しかし、この一見自由な歩みの向こう側には、圧倒的な「孤独」という魔物が腕を組んで待っており、これを自分の中でどう納めることができるかが、自分で在り続けることの最大の鍵であると今思う。それは誰かが側に居る、居ないという物質的なものではなくてね。
そんな中、その時々の自分自身から出た言葉を綴った「小冊子」を作り始めた。音楽の多様化を求めて。定期的に制作して7冊目になる。テキストで石川智晶のもうひとつの世界を作りたかった。労力で言えば1枚のアルバムを作る時間と同じくらいかかった。曲と同タイトルで、全く違う切り口の別の物語を表と裏バージョンを作ったり、歌詞ではない「作詩」などを小冊子にまとめた。音楽の世界と共通しているところは、小冊子においても「恋、勇気、元気、together」は一切出てこないところかな。
あるレーベルの社長が「もはやCDは物販である」とおっしゃっていて、売れなくなってきたCDを何かと抱き合わせで販売していくことを話されていたが、そこにアイディアと実行力がなければ古い慣習のまま音楽業界は萎んでいく。そしてそこに必ず遊びの発想がなければ広げていくこともできないと思っている。
今年は新宿マルイ アネックスで衣装展を開催した。衣装においてはデザイナー市川大輔氏と共に約7年ぐらいの間、衣装のクオリティを落とさず一緒に作ってきた。音楽の世界観とビジュアルは私の中で重要な位置づけである。衣装展開催時には感慨もひとしおだったけれど、それ以上にゴシックロリータ好きの海外のお客様も注目の新宿マルイ アネックスで、このような形で音楽とファッションの融合を表現できる喜びがあった。最初から想定してこのような形になった訳ではないので、信念と積み重ねだなと改めて思った。今月10月21日から衣装展第二弾をまた開催することになり感謝しています。是非、ご興味がある方はお越しください。
子供の頃に観ていたアンディ・ウォーホルのアート本に書かれていた「私はいつも“それは大した問題じゃない”という哲学を持ってきた」という言葉。今も仕事上の意見の方向性の違いや、向かう場所を失いそうな事に直面する時、この言葉を思い出す。音楽以上にそれを扱う人間力が問われる時代。ビジョンが浮かんだらすぐ形にする。楽しいか楽しくないかなんて愚問。その速さがないと、従来のやり方や慣習が未だはびこっているこの音楽のフィールドでは答えを待っていられない。
自分をプロデュースするという事は「自分になっていく」事につながるのかもしれない。SNSなどの情報過多の中、無駄に煽られますが毎日そんなに充実してなくてもいいんじゃないって思う。自分をむやみに世間や他人に明け渡してはいけない。そんなに毎日笑っていられるかい。毎日一割ぐらいの鬱を持ってるぐらいがちょうどいい。適度な曇り空感は想像力や妄想が広がります。外に出て揉まれる世界と同じだけ静寂の時間の中で自分として生きることを私はしたい。むやみに繋がらなくてもいい。繋がったことで身動きが取れない方もいるのではないかしら。仲間やまた親族であっても、必ずしも寄り添え合える訳でなく足かせになることもある。手放しながらより「自分」になっていく。自分になるって痛みを伴うことなのかもしれないね。
私は「自分の言葉」をさらに持ちたい。それが哲学になり自分を力強くする軸になる。それが誰かの心を揺さぶる言葉になるのだとしたら、最高に嬉しい修行を今も尚していることになる。幸せになってくれたら素直に嬉しい。それはお役目だと思っています。
石川智晶
<あと書き>故櫻井孝昌氏の余韻が残っているこの場所「TEAM SAKUSAKU」に改めて敬意を払いたい。そしてこれを支えるスタッフ、友人の皆様にも!
PROFILE
石川智晶 (いしかわ ちあき)
「機動戦士ガンダムSEED」「機動戦士ガンダムOO」「戦国BASARA3」アニメ、ゲーム、舞台音楽などの楽曲を手がける。代表曲「アンインストール」であえて光を見せない詞の世界、多重コーラスアクションで独自の「石川智晶ワールド」を持つ。音楽制作ブランド「MATERIAL WORLD」を設立。石川智晶の世界観そのもの、LIVE「裏窓からみえるモノ」シリーズは好評。
Twitter:@ishikawachiaki3
公式ウェブサイト:
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■最新情報
【石川智晶 衣装展第二弾!】10/21(金)~10/30(日)【amnesiA¶mnesiA衣装展 vol.2 - 鏡の中の鏡 - 】
新宿マルイアネックス 6F 「ギャラリーショップ ouef (ウフ)」
【品川教会LIVE】2016年11月24日(木)「神のみぞ知る VOL.2 ピスティケース」
品川グローリアチャペルにてLIVE開催
PRESENT!
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沢山のご応募、お待ちしています!
●プレゼント応募期間 2016年10月14日(金)~2016年11月13日(日)
●プレゼント当選者発表 2016年11月16日(水)
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