Sorairo no Isu book

I saw the image announcement on twitter without reading the announcement tweet and I was like "wth do they make a book for a (more obscure) Kalafina song?" then I realized "oooh the book is titled Sorairo no Isu" lol
 
Umm, is it a collection of released song lyrics or something else?

Oh.
Code:
In July 2023, Ms. Kajiura will celebrate the 30th anniversary of her career. This collection contains all 230 lyrics she has written in the 30 years since her debut as a member of the girls' unit See-Saw. The book is a 400-page book of her lyrics, covering not only theme songs and insert songs for popular anime productions, but also songs from her See-Saw days, songs produced by Kalafina and other artists, songs provided to artists, and her latest song, which will be released in 2023.

In addition, the book also includes a 30,000+ word "essay" and "30 Self-Liner Notes" to commemorate the 30th anniversary. The book also reveals for the first time Mr. Kajiura's style of "words" and the secrets of "writing.

The "Kajiura World" continues to fascinate people around the world with its unique sensibility and world view. This is a must-read not only for Kajiura fans, but also for fans of anime and ani-songs - an anniversary book filled with the "unknown" history of Mr. Kajiura.

Translated with www.DeepL.com/Translator (free version)

I mean... I don't know... Maybe... I can't read Japanese and I have most of those in booklets... unless it has kajiurago lyrics... but I think that would make it more than 230 songs...

PS. This is neat but how about also releasing some unreleased BGM for the anniversary...
 
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I mean... I don't know... Maybe... I can't read Japanese and I have most of those in booklets... unless it has kajiurago lyrics... but I think that would make it more than 230 songs...

PS. This is neat but how about also releasing some unreleased BGM for the anniversary...
I thought exactly the same:
  • It would be better to release a book for Kajiurago lyrics
  • The Works for Soundtracks II

and her latest song, which will be released in 2023.
???
 
Nice that she confirmed it. I take it they will probably be the same as og booklet lyrics (skipping the English bridges, too).

SOooo yea... probably a pass for me, too.
 
https://twitter.com/asuka_shinsha/status/1673904408885858304?s=46&t=cYIyCI1EUAvXV_xaD4LgyQ

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Couldn't resist this book, seems like something I will get way too sentimentally attached to and emotionally invested in so I set up an amazon.jp account just to pre-order from the UK xD

EDIT: It arrived, I love it, and I even got a cute little bonus postcard :D
 
Last edited:
https://www.tokyo-np.co.jp/article/276911

アニソンの神様・梶浦由記さんが「理想の恋人」のために込める「90秒」​

2023年9月15日 06時00分
活動30周年を迎えた音楽家・梶浦由記さん(58)が、自身初の著書となる『空色の椅子』(飛鳥新社)の出版に際し、本紙の単独取材に応じた。「アニソンの神様」と評される梶浦さんがどのように仕事に向き合っているのか? 90秒のオープニング曲にかける思いとは? 集大成ともいえる著書について語った1時間のインタビューをお届けする。(聞き手・谷野哲郎)
著書について語る梶浦さん=渋谷区のハイウェイスター事務所で
著書について語る梶浦さん=渋谷区のハイウェイスター事務所で

◆538ページ ここまで「裸」になるとは​

―『空色の椅子』は、538ページにわたる大作です。初めて手に取ったときはどのように感じましたか。
「私、本を作り慣れていないので、最初『500ページになります』と言われたときに、『あ、そうですか』と普通に答えたのですが、見本を送っていただいたときに、『わ、500ページってこうか!』と、ちょっと感動しました(笑)」
―ご自身初の著書ですね。
「空色の椅子」(飛鳥新社)
「空色の椅子」(飛鳥新社)
「これまでも、本を出さないかと言われたことはあったのですが、同じ100時間かけるなら文章を書くより音楽を作った方が絶対に良いものができると思ったので、お断りしていたんです。でも、今回は詞集ということで、一生に一度本を出すのなら、この形が自分に一番ふさわしいのかなとお受けしました」
―数ある曲の中から、『空色の椅子』を本の題名に選びました。
「『空色の椅子』は言葉が視覚的にきれいですし、椅子って上に何かある、誰かが上に座る空間を思わせる場所でもあるので、タイトルにすると面白いんじゃないかと、直感で決めました」
―230曲の詞が壮観です。
「歌詞はこれまでもアルバムやCDシングルのジャケットに載せてきたのですが、このように詞集という形で読むと、洋服を脱いだような恥ずかしさを感じてしまって。ここまで裸になるとは思わなかったので、自分でも青くなってしまいました(笑)。歌詞というのは、メロディーという洋服を着ることを前提としたマネキン人形のようなものだなぁと、あらためて思いました」

◆原点はビートルズ​

―巻末にはエッセーも書かれています。中でも子どものころにビートルズの訳詩本を見ながら、全部の詩を書き写したエピソードは印象的でした。
「小学2、3年のころですね。兄がビートルズを好きだったので、読ませてくれたのです。楽譜集もあったので、それに英語の歌詞が出ているのを見つけて、『あ、この歌詞はこういうことを言っているのか』って。私にとって、歌詞には意味があると初めて気付かせてくれたのが、ビートルズでした」
―日本の音楽は聴かなかったのですか?
「小学2年生から中学2年まで、ドイツにいたので、聴こうと思っても聴けなかったのです。今とは違って、カセットテープかレコードがないと聴けない時代。でも、ラジオを付ければ、アバとかクイーンとかポリスとか、そういう曲が普通に流れていて、そっちの方が身近でしたね」

◆私はすごく下手だと思う​

自らの音楽について語る梶浦由記さん=渋谷区のハイウェイスター事務所で
自らの音楽について語る梶浦由記さん=渋谷区のハイウェイスター事務所で
―著書では作品づくりについても触れています。梶浦さんはテレビアニメのオープニング(OP)やエンディング(ED)曲も数多く手がけてきましたが、普通の曲よりも作るのは難しいのでしょうか?
「難しいです。私はすごく下手だと思います。テレビアニメとのタイアップの場合、OPやEDは89秒から90秒と決まっていて、その間に収めないといけないのですが、普通に作ると、90秒には絶対に入らない。90秒サイズに収めるのは本当に至難の業で、他の作家さんの曲を聴くと、何てよくできているんだろうと感服して、落ち込みます」
―曲から作るのですか、それとも歌詞からですか?
「90秒サイズは、メロディーから作ることの方が多いですね。頭のインパクトは大事なので頭から作ることが多いかもしれませんが、サビまで作って頭を作り直したり、パターンはいろいろです。そこに歌詞を入れていくのですが、それが大変で。このフレーズに5文字入れたいのだけど、4文字にしなければ入らないとか、削る作業に悩みます。でも、言葉って最強というか、言葉が(メロディーに)載るのは最終兵器を抱えているようなものなので、日本語の言葉が載ってきた時点で音楽は伴奏になり、絶対的なものになると思っています」

◆1曲あたり100パターン​

―1曲作るのに、どのくらい時間はかかりますか?
「1週間だと早い方ですね。だいたい、何曲か作りますし、1曲しか出さないときも、最低100ファイル(100パターン)くらいは作っています。メロディーだけですけどね。ここを変えたとか、あそこを変えたとか、アレンジして100くらい。だから、聞き返すのが大変なんです。がーっと作って、あれ、ちょっと待てよ、初めに作った方がよかったかなって、聞き返すだけで4時間くらいかかってしまうこともあって(笑)」
―曲を作るときには、原作を読み込んで作る、原作がなかったら脚本を取り寄せ、また、ゲーム音楽の場合はゲームをプレーすることもあると聞きました。
「ゲームはなかなかできないこともあるのですが、その場合でもゲームの脚本をいただいて読みます。また、今はプレー動画という便利なものがありますので、そういうのを見て、参考にしています」
―90秒に全てを込める姿勢がすごいですね。今やOPやEDはアニメ作品の一部で、欠かせないものと捉える人が多いです。
「そうなるといいなと思っています。OPは作品のイントロで、違う世界に90秒で旅立つための時間。EDは見終わった後の心の処理、現実に戻ってくるためのブランク。音楽で世界を作るのは楽しいのですが、ちゃんと責任を果たすことができたなと思うOPやEDができたときは、やはりほっとします。ちなみに、フルサイズの曲は、90秒サイズの曲を作ってから、あらためて作ります」

◆他人の評価は「気にしている暇がない」​

2020年に「炎」で日本レコード大賞を受賞したLiSA。写真は同年、紅白歌合戦に出場した際のもの。
2020年に「炎」で日本レコード大賞を受賞したLiSA。写真は同年、紅白歌合戦に出場した際のもの。
―2020年にはLiSAさんへの楽曲、『炎』が日本レコード大賞を獲得しました。そのときの感想を教えてください。
「もちろん、うれしかったのですが、自分が受賞したという感覚はなくて…。レコード大賞に対する知識があまりなく、LiSAさんが取ったという感覚で、『LiSAさん、おめでとうございます!』って感じでした。後から、作詞や作曲も評価されるものだと知って、『あ、そうなんだ』と」
―他人からの評価は気にならないのですか?
「評価されないと次のお仕事がなくなってしまうので、気にならないことはないのですが、大抵、評価される時期にはもう次の仕事をしていますので、そちらの方に気を取られてしまっていることが多いです」
―多くのファンが作品を評価し、梶浦さんのことを「神」と呼ぶ人もいます。
「他にも素晴らしいミュージシャンがたくさんいるので、自分ではそんなふうには思わないですが、自分の音楽を好きだと言ってくれる人がいるのは、世界で一番幸福なことだと思います。もう自分のために音楽は作れないなって思っています」

◆アニメの世界に飛び込んで​

―今年で音楽活動30周年。アニメもアニソンも、今や日本を代表する文化になりました。ご自身の活動を振り返ってみていかがですか?
「アニメは可能性にあふれた文化で、長くそこにかかわってこられたことはとてもうれしく思っています。ただ、私が深夜アニメに関わり始めたころは、アニメの音楽をやりたがる作曲家は少なかったように思います。多分、世の中全てでアニメは子どもが見るもの、映画や実写ドラマに比べたら、ランクの低い仕事という感覚がどこかにあったと思います」
―それでも梶浦さんはアニメの音楽に挑戦した?
「私はそれまでアニメを見たことがなくて、全然知らなかったので、変な意識がなかったんです。あのころ、プレーヤー(演奏家)さんから、『えー、こんなにいい曲、アニメに使っちゃうんですか』と言われたこともありました。全然悪気なく。最初はそういう感じでした」

◆偶然出会えた理想の恋人​

―1996年の「きまぐれオレンジ☆ロード」の劇場版からアニメの仕事にかかわってきました。アニメの仕事はお好きですか?
「すごく好きです。さまざまな音楽に挑戦できるので。例えば、アニメでは、英雄が悪党をたたき切って船と一緒に爆発したり、星が滅んだりして、じゃーんとシンバルが鳴るような音楽が多いのですが、そういうのは、オペラかハリウッドか、アニメしかないじゃないですか。当時は深夜アニメが始まったばかりで、ルールもなく、音楽も何でもありだった。こんな自由な世界があるのなら、私は自分の好きなように音楽を作りますよって、自分の引き出しを全部開けて音楽を作った。だから、アニメの音楽は大好きです。私にとっては、偶然出会えた理想の恋人みたいなものです」
著書「空色の椅子」を手にする梶浦さん=渋谷区のハイウェイスター事務所で
著書「空色の椅子」を手にする梶浦さん=渋谷区のハイウェイスター事務所で
―30年は1つの区切りですが、これからやっていきたいことは何かありますか?
「ただ、音楽を作っていたいですね。流行廃りの世界ですから、自分がベストを尽くしていても、もういいですと言われてしまうこともあるでしょう。でも、これからもなるべく、たくさんの物語と一緒に、その物語の音楽を紡いでいけたら、それ以上幸せなことはないと思っています」
かじうら・ゆき 作詞家、作曲家、音楽プロデューサー。東京生まれ。1993年に「See-Saw」のメンバーとしてメジャーデビュー。映画やアニメの劇伴や劇中歌も手がけ、独自の世界観で人気を博す。 『機動戦士ガンダムSEED』『魔法少女まどか☆マギカ』『ソードアート・オンライン』などのアニメや、NHK連続テレビ小説『花子とアン』の劇伴や同局『歴史秘話ヒストリア』の音楽も担当した。アーティストへの楽曲提供も行っており、2020年、作詞(LiSA共作)・作曲した『炎』が日本レコード大賞を受賞した。
 
https://www.tokyoheadline.com/713977/


音楽家の梶浦由記が活動30周年!アニソンで「自分の居場所が見つかった」​

2023.09.17 Vol.Web Original インタビュー
『鬼滅の刃』『魔法少女まどか☆マギカ』『ソードアート・オンライン』などといった大ヒットアニメや、NHKの連続テレビ小説『花子とアン』などで知られる音楽家の梶浦由記。劇伴だけでなく、女性ボーカルユニット「Kalafina」や個人プロジェクト「FictionJunction YUUKA」など、多くのアーティストのプロデュースや作詞・作曲を行い、2020年には作詞を梶浦とLiSAが共作、梶浦が作曲を手がけた映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』主題歌のLiSA「炎」が第62回日本レコード大賞を受賞した。
その梶浦が1993年に音楽ユニット「See-Saw」でメジャーデビューしてから活動30周年を迎えた今年7月、初の歌詞集『空色の椅子』(飛鳥新社)を発売した。一体なぜ、このタイミングで本を出そうとしたのか。これまでの音楽活動や、今のアニソン業界についてどう見ているのか、本人に聞いた。
◆ ◆ ◆
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活動30周年で初の歌詞集『空色の椅子』(飛鳥新社)を発売した音楽家の梶浦由記(撮影:上岸卓史)
『空色の椅子』はこれまで発表した230曲の歌詞が掲載され、「全曲詞集」として位置付けられ、3万字に及ぶ語り下ろしエッセイも収録されています。なぜ今回、こういった形で歌詞集を書籍として出版したのでしょうか。
「以前から、本を出さないかというお話は何度もいただいてきましたが、私は音楽家ですから100時間かけて本を作るのだったら、100時間かけて音楽を作ったほうがいいものを世の中に出せるし、残せるだろうと考えてお断りしていたんです。もともと本が大好きというのもあって、“私ごときの文章を本という神聖なものに載せたくない”みたいな思いもありました(笑)。
今回は30周年という節目でもあり、歌詞集という形だったので“これだったら”と思ったんですね。歌詞は私が責任を持って世の中に送り出してきた言葉ですから。私がもし一生に一度本を出すとしたら、歌詞集が一番自分にふさわしい形ではないかと思いまして、このようなありがたい本を出させていただくことになりました。
後半は、私の音楽家人生を中心に普段どのような思いで作詞・作曲しているのか、これまでの仕事に対してどう考えているのかについてまとめた語り下ろしエッセイとなっています。あまりこういうお話をする機会はなかったのですが、30年やってきたからこそ“私の活動はこういうものです”みたいなことを少しは言ってもいいのかなと思いました」
 10年前の20周年と比べると30周年は何が変わったのでしょうか。
「20周年の時に、“一生が100だとしたら今は達成度何%ですか”という質問を受けて“15”と答えたんですよ。今はどのくらいだろうって考えたら、50くらいかなと思っているんです。10年前は自分の人生の残り時間なんて一切数えてなかったんですけど、この年になるとどこかで無意識に“あと何年できるかな”って考えているんですよ。“あと何年音楽活動できるんだったら、何年までにこれをやらないとな”という考え方になってきて。そうすると“もう50は塗りつぶされてるな”ということをすごく感じているんです」
 残りの50はどんなことをしていきたいと考えているのでしょうか。
「“もっといい曲を書きたい”ということだけですね。“今までの音楽活動はまだイントロ”だという感覚は、きっと何歳になってもどのアーティストも持っているものだと思うんです。私もそう思っていますし、これから先の年数やゴールがある程度見えてきた時期になっても、では“結局何を、どこを目指すのか”と問われればシンプルにそれだけなんです」
 
part 2/4 (parts 2, 3 and 4 contain one picture each, but they couldn't be posted)

アニメの劇伴の作曲を始め「“こんなに何でもやっていい場所がこの世にあったんだ”というのがすごく衝撃」と梶浦
 これまでの30年間を10年ごとの節目で見ていくとどのように振り返りますか。
「私は1993年に『See-Saw』というグループで、J-POPというフィールドでデビューしたんです。当時はいろんなジャンルの曲があまり求められない時期というか、みんなが同じ曲を聞いてカラオケに行って、みんなが同じ曲を歌うという時代。100万枚売れる曲がいっぱいあって、明るくて楽しい曲とか、売れたかったらカラオケで歌える曲を書きなさいという時代でした。
曲は自分たちで書いていたんですけど、編曲するにしても“君たちがやってることはマイナー過ぎるから、もうちょっとメジャーなところに持っていこうよ”とスタッフに言われることもあって、当時の私は“それがプロになることなのか”と思ったりもしていました。今思うと最初の10年はもう馬鹿すぎて、何を考えていたのか自分でもよく分からないところもありますね(笑)」
 90年代後半からアニメのBGMや劇伴の作曲も始めるようになり、2000年代に入ると深夜アニメを中心にその仕事が増え始めます。
「劇伴の仕事をやるようになって、やっと自分の世界が開けた、自分の居場所が見つかったという感覚がすごく大きかったんですよ。J-POPの時には必要ないと思っていた私の中にある音楽ジャンルを全部出してよくて、“こんなに何でもやっていい場所がこの世にあったんだ”というのがすごく衝撃でした。
同じ劇伴でも日本映画やドラマの世界にはもう長い歴史があって、“劇伴とはこういうものだ”というある程度確立されたスタイルもありました。ですが、当時の深夜アニメはまだまだ黎明期で、“カッコ良ければ何でもOK、どんな音楽だってどんと来い!”というような若さと自由さが業界全体にあったんです」
 その後、深夜アニメから『魔法少女まどか☆マギカ』や『鬼滅の刃』など、社会を動かすような作品も現れるようになりました。この10年をどう見ていらっしゃいますか。
「今は深夜アニメの作品も増え、深夜でも子ども向けのような作品から、大人が見るような文学的な作品まで幅広くなりました。その分求められる劇伴もどんどん膨らんできた感じがしますね。私は作る音楽のクセも強く、音楽性も少し偏っていると思うのですが、とてもありがたいことに、これだけ作品の裾野が広いと私みたいな音楽家にも居場所があるんです」
 
part 3/4
作品の世界観と音楽性のすり合わせについて「いつもその作品の読書感想文を書くようなつもりで作っています」
 梶浦さんといえば、聞くだけで梶浦さんだと分かる曲調が特徴です。アニメの場合は多くが漫画やラノベなどの原作があり、その作品世界と梶浦さんの持つ音楽性とのすり合わせが求められると思いますが、どのように曲を作られているのでしょうか。
「そもそも私は昔から物語がすごく好きで、子どもの頃に本を読んで勝手に主題歌をつけたりもしていたんです。劇伴作家って基本的にひとつの作品の曲は全部一人で担当します。“世界であなただけがこの物語のために音を鳴らしていいですよ”と言われているようなものですから、これほど光栄なことはありません。そこで私がロクでもない音楽を作ってしまったら、世界にたったひとつの物語に対してとても失礼だし、音楽家としてそれに応えられないということもあってはなりません。
ですので、いつもその作品の読書感想文を書くようなつもりで作っています。読書感想文ってどうやってもどこかに自分の考えが出てくるじゃないですか。ひとつの物語を読んでも、私が書く読書感想文と、他の作詞家や作曲家が書く読書感想文は全然違うと思うんです。その作品に合った音楽を作ってはいるつもりですけど、どうしてもそこに自分の色が乗ってしまうというのはありますね。作品より自分が決して目立つことなく、むしろ自分をなるべく出さずに新しいことをしようといつも思うのですけど、どうしても出てしまうといった感じです」
 ひとつの作品の劇伴を担当する時に、作品を理解する作業はどの程度の割合を占めているのでしょうか。
「劇伴の仕事においては作品を理解する作業が大部分を占めます。原作がある場合は、お話をいただくのはかなり前なんですよ。作品にもよりますが初めてお話をいただいて、打ち合わせをして実際に作曲に取りかかるまで1年時間が空くこともあります。つまり、1年くらい作品を読み込んでおく時間があるわけですから、監督と初めて楽曲の打ち合わせをする時点で、原作や脚本を全部読み込んで理解した上で臨みます。打ち合わせそのものは曲のイメージで分からない点を聞き合って、すり合わせをする作業が中心になりますね」
 深夜アニメから世界的なヒット作が生まれたのと同じように、YOASOBIの「アイドル」をはじめ、日本のアニメ音楽が世界的にヒットしています。今のアニソンというものについてどう見ているのでしょうか。
「実はアニソンって、特定の音楽のジャンルを指す言葉ではないんですね。アニメの主題歌などに使われているから“アニソン”と呼ばれているのであって、その音楽はポップスでもジャズでも何でもいいわけです。そうした性質があるからこそ、アニソンと一般の曲との垣根がなくなってきたのかなという感じがするんです。ちょっと前までは、アニソンだから聞くとか、逆に聞かないという人もいましたが、そういった境界線みたいなものが薄れてきたように思うのです。大衆音楽とアニソンが同化してきているのかなとも思います。
『アイドル』という曲も、アニソンだからヒットしたわけじゃないと思うんですよ。世界中の人が聞いて、アニメを知ってる人はもちろん好きだけど、アニメを全く見たことがない人も含め、世界中の人がすごく喜んで聞いているという事態が起きているのだと思うんですね。だからアニメの曲だからといって流行ることもなくなるだろうし、逆にアニメの曲だから聞かないということもなくなるんだろうなっていう感覚はありますね」
(取材・文:河嶌太郎)
 
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